真夜中オタク戦争

語彙力は無い

イザボーの「幸せ」とはなんだったのか? ミュージカル「イザボー」観劇 感想考察

こんにちは!まことちゃんです。

 

 

毎回はてブロを書くのが久しぶりになってしまいます。

Twitterの方がフットワーク軽いんだも~~~ん!!!(意地でもTwitterと言う人種)

 

さて、先日イザボーを観てまいりました。

一幕から目まぐるしいスピード感のある演出と”イザボーの幸せとは”について考えさせられるめちゃ良ミュージカルでした。

 

レポ、感想、考察をこの記事に詰めていこうと思います。

感想、考察についてはネタバレが含まれると思うので一応注意です!

 

まず、まだイザボーを浴びてない方が気になる点だと思いますが、

 

Q.予習した方がいい!?!?!?

 

A.歴史に苦手意識がある方こそ予習すべし

 

もろ世界史がベースになっている作品です。私は高校の時世界史選択だったのですが、全てを忘却しているため公演プログラムに乗っていた百年戦争の解説を読んで何とかついていけました。

ストーリーをちゃんと楽しみたい方は公演プログラムに載っている解説は必読かと思います。

世界史の全てを忘れていた私ですが、歴史は好きなので楽し~!!と思っていました。

だがしかし、幕間でテンション沸いてる私の耳に飛び込んできたのは「ストーリーがよくわからない」という声でした。

ハッとしました。確かにこの作品は学生時代に歴史を苦痛に思っていた方には結構しんどいかもと……

そんなこと言われたって歴史の勉強はしんどいんじゃい!!!!!という方はブルゴーニュ派」「オルレアン・アルマニャック派」という単語とその2つの派閥が対立しているという関係だけでも覚えておけば物語の解像度が増すかと思います!

 

史実を元にしているからこその重厚なストーリーもこの作品の魅力ですが、難しい歌唱を求められる素晴らしい楽曲や一日2公演もやってるとか体力おばけ過ぎるだろ……と思うくらいのエネルギッシュなアンサンブル・スウィングのダンス、目まぐるしく回転する舞台セットなど舞台を総合芸術たらしめる要素で詰まっているんです。めちゃすごいんです!!!!!!

とっつきにくい歴史をここまでエンタメに昇華した末満さんの手腕よ……

なおさらだいちゅきになっちゃいました……

 

ここからネタバレ的な要素になってくるので、未観劇の方はご注意ください……!

 

公演プログラムにも”まず固定概念を壊す”と書かれていましたが、私たちは「最悪の王妃 イザボー」の物語を想定して劇場に行きます。しかしふたを開けてみれば「イザボーは最悪の王妃だったのだろうか?」という問いが与えられる作品になっているように思いました。

私はイザボーはあの時代を懸命に生きただけだったという印象を持ちました。

己の望むことややりたいこと、愛するもののために成し遂げたいことのために生きた女性だと思います。

イザボーは過去の自分に「あなたは今幸せ?」と何回も問われます。彼女は今幸せではないと思った時に自分の力でのし上がってきました。

イザボーにとっての幸せとは?女であっても政治に参加すること、愛するフランスをこの手で守り抜くことだと思います。女は子どもを産んでこそ価値があるというその考えがイザボーにとって理解しがたいものだったからこそ、その幸せをより強く求めるようになったのではないでしょうか。

 

ただ、私が切ないとおもったところはイザボーが国の政治に関わるときに必ず女であることを使っていたことです。民衆たちには肉欲のままに生きる王妃だと罵られています。しかし、ストーリーをみていくと肉体関係を持つことには意味があり、その意味は政治をするうえで味方を増やすためでした。それがイザボーなりの戦い方でした。

「男たちは矛と盾で戦い 女は血で戦う」

こんな歌詞があります。不貞の関係で生まれた子であっても、イザボーの血を引いている限り王家の子です。

それが印象的にみられるのがカトリーヌにイングランド王国のヘンリー5世のもとへ嫁ぐように諭すシーン。イングランドとフランスの懸け橋に自分の血を持った子をいわば人質のようなかたちで差し出す。

これが血で戦うということなんだと客席で思いました。

女であることが参政の障害になっていたのに、いざ自分が政治に参加する立場になると女であることをフルで活用しなければ生きていけなかった。

それに、異国からひとりやってきたときに居場所を作ってくれたシャルル6世と居場所となったフランスを王妃として守るためにこうするしかなかった。

すごく切ない。

 

それに加えて私の切ねえ……ポイントを刺激してきたのはジャンヌ・ダルクの存在です。

先ほどイザボーは愛するフランスのために様々な不貞関係を持ってきたと書きましたが、結果トロワ条約でイングランドにフランスを明け渡すこととなります。

「Rut of fate ー運命の轍-」にてイザボーの葛藤が描かれています。血を求めることで、血が流れてしまった。彼女とてそう簡単にフランスを手放したわけではないと感じることが出来るナンバーです。

正直に言ってしまえば、彼女は負けてしまったのです。愛するフランスを手放すことはイザボーにとって孤独になることを意味しています。

この曲は彼女が彼女の幸せを求める戦いに負けたことを象徴しているかのようです。

そしてイザボーは歴史の表舞台からスッと消えてしまうのでした。

 

その後に現れたジャンヌ・ダルクは血で戦うことなく、男たちと同じように矛と盾を持ってフランスを取り戻す……心が締め付けられますよね……

ですが私はこの物語を悲劇として捉えたくはないです。イザボーにはどんな境地に立たされようと力強く生きたこの人生を誇りに思ってほしい。

セリフの中でイザボーが「悲劇のアンチテーゼ」と言われる部分があったかと思いますがこの一言に尽きます。

目一杯に生きた。それに私たちが悪女や悲劇と名付けるのは一種のエゴな気がしてしまいます。それを言ったらおしまいだろ感はありますが。

 

冒頭にも書きましたが末満さんが目指された「固定概念を壊す」ということを見事にされている脚本だと思います。

まぁ~これは何回も言われていることだと思いますが皆さん歌が上手い。(周知の事実)一曲一曲に魂を込めて、というか命を削る勢いで歌われるのでソワレもあるんだよね!?!と大変ビビッてしまいます。万年スポーツテストD判定だった私は体力の差に泣いちゃいました。多分イザボー出演されてる方みんなシャトルラン無限に走れると思う。記録用紙足らないと思う。

 

これで私も「イザボー」を知ってしまった側の人間になりました。

まだ書きたいことはありますが長くなってしまうので今回はこれにて……!考えることがたくさんあって楽しい作品でした。

MOJOプロジェクトの第1作目とのことですので………2作目期待しております!!!!!